Ｕ−２３チュニジア戦。

解説水沼さんが言っていた「選手たちはわかっていると思います、『自分たちは試されている』」。そのお言葉が重くのしかかりすぎたのかはたまたこれが実力なのか、硬さだけが目立った昨日の試合は、後半残り２０分ほどしか見どころはなかったような。「アピールするんだ」という強い気持ちは当然あったと思うけど、それと同じ割合で「ミスはしたくない」という気持ちもあるんだろうなーと思わせる出来。スタメンの顔ぶれは、前回のマリ戦同様「わー、いかにも当落線上の選手〜」というメンツで、各人の良さより『物足りない部分』が浮き出てしまった。特に攻撃陣。

そう、特に攻撃陣が。

−−−坂田−−−高松−−− −−−−−−松井−−−−−− 森崎コ−−−−−−−−−駒野 −−−啓太−−−前田−−− −−茂庭−−闘莉王−−菊池−− −−−−−−曽ヶ端−−−−−−

坂田高松のがけっぷちツートップはけっこうこれまでもコンビ組んできたように思うんだけどいかんせん連携が見えない。前半の両サイドやボランチの前線へのフォローがなかったということを考えたとしても、『ツートップで何かやってくれそう』な雰囲気がない。高松くんはやっぱりまだポストプレイに信頼感ありというわけではないことが判明してしまった。坂田くんも、せっかくみんなが彼の良さを活かそうと裏に抜けるようなスルーパスを送ってくれているのにシュートまで持っていけない（もしかして１本も打ってないんじゃないですか？）。後半出場のたっちー（田中達也）が遠めからでもばんばんシュート打っていたのと比べると、やっぱりまだサブだなーと思わざるを得ない。だいたいファーストトラップがヘタすぎる。昨日だけ？。高松くんにしても坂田くんにしても、自分たちが前線でキープできずに味方の上がってくる時間を（いわゆるタメ）を作れないからフォロー（後ろからの追い越しやサイドの上がり）がない、だから攻めが単発になって自分たちがアピールできない、という悪循環に陥ってしまった。予選のときは高松くんもっとタメれるひとだと思ったんだけどなあ。坂田くんも同世代にヨシトとたっちーがいることを考えると、将来日の丸を背負ってＷ杯を目指すならさらなる精進が必要だなあ。相手ＤＦに当たられたらすぐコケるし、もっとフィジカルも強くしなきゃだめだ。

サイドは、左の森崎コージくん、右の駒野くんともに守備に重きをおいている感じ（選評を読むとチュニジアが両サイドにウイング（？）を張らせていたためにかなり押し込められていたとのこと）。もう少し攻撃にも顔出してくれるとバランス良いと思う。

いちばんびっくりしたのが前田くんのボランチ起用。えー、ＦＷでもトップ下でも使うあの子を、そんなとこでも使おうというのですか山本監督。だけどボランチはただでさえ今ちゃん阿部っちの当確組に啓太が割り込めるかという狭き門で、そこに小野ちんも呼ぼうとしているというのに、これ以上試す必要あるのかな？前田くんの良さがどこにあるのかまだ風子はわかっていませんが、前に松井くんと２枚トップ下で出て「監督に下がり目でやれと言われた」とボランチっぽい位置でやってたときは、あまり効果的じゃなかったように記憶しているのですけども。後ろからの追い越しで攻撃参加を期待した山本監督に応えられなかったということなのかなあ。風子が思うに前田くんは素直なひとなんじゃないかな。だから『後ろめ』というポジションを言い渡されると素直にそれに従ってしまう（つまり前に出てくるチャンスを見逃しがちになる）。所属チームジュビロ磐田なら周りはみんなベテランばっかりだし「前田もっと動け！」とアドバイスをくれるだろうけど、Ｕ−２３ではそこまでいってる子はいないっぽいからなあ。

−−−坂田−−−平山−−− −−−松井−−−−達也−−− −−−−−−−−石川−−−− −−−−−−啓太−−−−−− −駒野−−茂庭−−阿部−−菊池− −−−−−−川島−−−−−−

そして後半、普通に駒野左のナオくん右で３−５−２かと思いきや、１７分にたっちーが入ってからはどうやら４−４−２だった模様。だけど、なんかヘンじゃないですか？スリートップでトップ下＋右サイド、啓太はワンボランチで駒野くんを最終ライン？。よくわからない…。駒野くんが右でも左でも使えるし守備もできるし、最終ライン少し上がったところからななめのクロスを入れる、その精度もいい、ということで計算できる選手だというのはわかりましたが、ナオくん的には難しい位置だったような。ナオくんとしては右サイドえぐってラストパスを中へ供給、その逆で中央へドリブル突破から自分のミドルシュート、というスタイルがあると思うのだけど、そのどっちも中途半端になってしまった。もっとサイド使えば良かったかもしれないけど、中へ切り込んだときはたっちーや平山や松井くんとかぶってしまってうまくいかなかった。平山がもう少し高い位置を狙っていたらなあと思わないでもないけど、そこには裏を狙った坂田くんがちょこまか動いているわけだし。前線に人数かければ点が取れるわけでもないのだなあ。

後半３０分過ぎ、坂田くんをあきらめて山瀬でリトライ。後ろから追い越してゴール前へ飛び込んでいくタイプの山瀬は今回みたいな停滞した試合ではいい結果を残すのじゃないか…とびくびくしている風子の目の前で、チュニジア戦最大の見せ場が勃発。平山ポストから左に流れたたっちーがゴール前へパス、走りこんできた山瀬にしっかり合ってシュートするもＧＫにはじかれ、フォローしたナオくんのダイレクトシュートはゴール上へぼよよーん。このビッグチャンスに決め切れなかったのは痛いけど、これが最初で最後の決定的シーンだったというのがさらに問題。Ｕ−２３山本ジャパンの良さはこういう連携にあったはずなのに。前半なんて本当１本もこういうところがなかった。

改めて、このチームは守備のチームなんだなあと思いました。守備はいいけど攻撃に芽が出ない。というわけで触れなくてはいけないのがやはり松井くんのことであります。

あのひとね、自分のネックは守備だと思っているのですよ。テクニックがあることは練習で立証済み、想像力豊かなファンタジスタであることもこれまでの印象的プレーでアピール済み、あと残るは「守備もできますよー」ということを証明しなくてはいけない、と。だってほら、山本監督はユーティリティってことにとてもこだわるから、「攻撃だけできてもダメだ」って言われているんだと思う。
だけど今日の試合に限っていえば、もう少し攻撃面を重視するべきではなかったのか。あのメンバーでボールキープできるのは松井くんだけだったし、ボランチがこれまた守備にバランスを傾けているふたりだったので、サイドの駒野くんあたりを呼び込んで松井くん自身がで結果を出す（つまりゴールする）、ぐらいの勢いがないと。前半の１０分ごろ、相手ＤＦを猛チェックしてボールを奪ってミドルシュート！というのはとても良かったのだけどなー。
昨日は松井くんの悪いクセ（ドリブル突破を試みてボールを奪われる）はあまり出ませんでしたが、松井くんからパスをもらってくれるひともいなかった。高松くんはハイボールを全部取れるほど実力者でもないし、坂田くんはたっちーやヨシトのように松井くんの周りで『半トップ下』みたいな役割もしてくれない。頼みの両サイドは、どちらも中へ入ってこようとしないし、ボランチは深いところにいて攻撃しようという感じがまったくない。お互いのポジションチェンジを促す動きもなく、足を止めたままパスをもらって返すだけ。ＤＦをひとりかわせば誰かがフリーになるとか、相手に囲まれてボールを奪られそうになったら近くに行ってフォローするとか、少しずつでも前へ行こうという気概がぜんぜんなかった。あんな中でトップ下としての仕事をしろと言われたって難しい。せっかくキープしても「パス出せるやつおらへんやん！」だし、中央高い位置にいても「クロスくれるやつおらへんやん！」という。
でも『トップ下争い』に名を連ねる３人の中では松井くんがいちばん『トップ下』らしいプレーをする。フル出場だったのもかなりポイントになっているんじゃなかろうか。「どういう選手が来てもおまえらしいプレーをしろ」とか「パスを出すだけじゃなく結果を出せ」とか。そこらへんの無言の叱咤激励が見えるだけに、もう少し松井くんには前めの仕事をしてもらいたかった。ぶっちゃけああいう拮抗した試合内容だったら、失点なんか怖がらんでもいいねん、トップ下には守備も当然役割の内に入っているけど、評価されるのは点にからんだプレーやねんから。
応援に来ていた女子サッカーの川上さんも「松井選手はボール持ってるんですけどね〜」と言ってましたよ。たぶん「そのあとのフォローをもう少しがんばってもらいたいですね」と続いたはずだ。川上さんのかわいさに萌え〜となりながらそう思っていました。

あと昨日の印象的だったことといえば、モニ（茂庭くん）であります。チュニジアが時間稼ぎしはじめたとき「ええから放っとけ！早よ前線にパス出せ！」みたいに（実際は関西弁じゃないでしょうが）言っていて、熱いなあと。ほんとね、泥臭くても多少ズルくても勝とうとおもわなくちゃ。そういう気持ちが少し弱いですよねこの世代は。紳士的といえばそうだけどもさ。失点は確かに曽ヶ端くんのありえなミスですよ、だからこそそれをフォローするためにも同点にはしておかなきゃいけない状態で、すでにモニも前線に上がりっぱなしになってパワープレーの時間帯だったのに。審判が試合を止めているなら話は別だけど、ちょっと弱いよなあ。
というわけでやっぱりモニは１試合ごとに伝説を作る男だと思いました。

１６日で最終メンバーが決まりますけれども、昨日の選手起用を見てるとなんとなくわかってきたなあということで風子的最終メンバー予想をぶちあげてみます。総勢１８名。

【ＧＫ】	曽ヶ端、黒河
【ＤＦ】	闘莉王、茂庭、那須、徳永、菊池
【ＭＦ】	松井、阿部、今野、駒野、石川、森崎、鈴木
【ＦＷ】	大久保、田中、平山、高松

オーバーエイジ曽ヶ端くんしか使ってねえじゃねえか、ということになりますが、小野ちんはまだしもタカ（高原くん）はもう無理だと思う。今この時点で「体調に問題あり」って言われたら使えないだろう。ＦＷ４枠のうちひとつをタカに使って万が一ダメだったら、３人で戦わなきゃいけなくなってしまう。
小野ちんを使うなら啓太を外す方向で。あのキャプテンシーはやっぱり必要だとは思うけれども、それじゃ松井くんが落ちてしまう。
ＧＫは、昨日のあれを見ると「Ｕ−２３世代があれやったら確実に外されるだろう」と思われる曽ヶ端くんを軸にするらしいので、あともうひとりは黒河くんで。林くんが復活するなら林くんでもいいんだけど。
ＤＦは、阿部っちか駒野くんを最終ラインに入れることも含みで考えてこの５人。
サイドは駒野くんが右でも左でも使えることがわかってしまったから、森崎くんと根本っさんを天秤にかけて森崎くんで。

まあほんとに明日ですべての努力が報われるか、はたまたすべての努力が水の泡と消える。あああああ、胃が痛いよぅ…。